『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』から音楽ビジネスを考える。その3


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グレイトフル・デッドも好きですが、Phish(フィッシュ)も好きなAARTイト→カズヤ(@kazuya_aart)です! 『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』から音楽ビジネスを考える。のラスト!
今回が一番音楽ビジネスに直結している内容です。

『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』その3

中間業者を排除しよう

グレイトフル・デッドは中間業者を排除して、チケットを直接販売することでのメリットは、ブローカーやダフ屋がチケットの代金を勝手に水増しすることを防ぐことができ、
チケット料金をファンの手に届く価格に保つことができる点。
また、前回の記事でも紹介したように他のチケット販売会社から買うのに比べて、手続きが面倒なことから、「それでもチケットがほしい」という既存の熱狂的なファンを育てていくという『顧客育成』の意味も含んでいたと言える。

音楽業界は「コンテンツビジネス」であり「権利ビジネス」でもあるので、この中間業者が非常に重要な位置にいました。
でも、インターネットが普及し、どんなアーティストでも自由に多くの人に自分らのコンテンツを届けることができるようになりました。
どの方法が良い、悪いというのはテーマが違うのでここでは述べませんが、工夫次第で「良質なもの」を「適正な価格」で「適正な人」に届けることができるようになった今は、アーティストにとっては有益な時代だと思います。

コンテンツを無料で提供しよう

他のバンドとは異なり、グレイトフル・デッドはライブの録音を推奨しました。
そのライブを録音するファンは「テーパー」と呼ばれ、なるべく高い音質で録音ができるようい専用のスペースまで設けられたそうです。
「ライブを録音されたらCDが売れなくなる」という考えから大多数のバンドはライブの録音を禁止したのですが、グレイトフル・デッドはここでも常識をやぶりました。

テーパーのおかげでグレイトフル・デッドの音楽は広まり、新たなファンを獲得するとともにアルバムの販売も上がり、19枚がゴールド、6枚がプラチナ、4枚がマルチプラチナアルバムとなりました。

自分たちのコンテンツがマッチするリードを探すのではなく、コンテンツを無料で提供し入ってくるリードをふるいにかけ見極め、「育む」ことが重要と言えます。

広まりやすくしよう

テーパーがライブを録音し、そのカセットを友人たちに貸したりコピーをして渡したりすることで、デッドヘッズを介して大きなサブカルチャーが生まれました。
デッドヘッズたちはそこで、オリジナルのカバーを作ったりするなど創作活動をし、それを共有することもグレイトフル・デッドは許したことも大きいと言えます。
(もちろん条件としては商業目的での販売はしないということ。)
インターネットがない時代で「無料」からこのような大きなネットワーク、コミュニティを作り上げたということからは、非常に学ぶべきことがあると思います。

近年でこの「2次創作」によって大きな力を付けたコンテンツは「漫画・アニメ」だと思われます。
一部の企業は2時創作をNGにもしていますが、大多数は許可(暗黙)していると言えます。
だからこそ、今のような大きなコンテンツとなり、「ジャパニメーション」という日本の文化の一つにもなったのでしょうね。

フリーから有料のプレミアムへアップグレードしてもらおう

では、テーパーが録音したグレイトフル・デッドの音源を無料で手に入るのだから、バンドが公式で出しているレコードやCDは購入しないのかという疑問があります。
しかし、先ほども書いたように実際ゴールドディスクやプラチナディスクとなるまで売り上げがあがっている。

それは「クオリティ」による差別化なんだと思います。
テーパーによる録音はいくら専用ブースが用意してあっても雑音やノイズが入ってしまう。
これはグレイトフル・デッドのコンテンツではあっても「作品」ではない。言わば「ノベルティ」のようなものと捉えられます。

だからこそ、ファンはきちんとした録音スタジオで専門のエンジニアが関わったCDやレコードを「作品」として購入したいし、「リマスター版」のライブCDだって購入するんだと。

自分たちの持つそれぞれのコンテンツの「意味」と「目的」を明確にしておく必要があるでしょうね。
加えて何でもかんでも無料にするのではなく、何を無料で提供するかってことも考えないといけないです。

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ブランドの管理をゆるくしよう

よくバンドやミュージシャン、アーティストは「世界観」を大事にする節があります。
「ブランディング」という観点では非常に理解できるし、大事なことですが、グレイトフル・デッドの場合はその「世界観」「ブランディング」すら演奏スタイルと同じ「即興」だったようです。
アルバム毎にデザインは異なり、ツアーのポスターや会報のデザインもテーマもまるでバラバラ。
ただこれは非常に自分たちの持つキャラクター、そしてファンが求めるもの(ファンのキャラクターにさえも)にマッチしていたんだとも考えられます。

スリッパを履いたまま、ステージ上でチューニングをし、ぬるっと即興演奏で始まるライブをするグレイトフル・デッドが、
CDジャケットやポスターなどの世界観をがっつりと統一して「かっこつけ」ていても、ピンとこないでしょうから(笑)
そういった意味では「一貫していないことに一貫している」のでしょうね。

起業家と手を組もう

グレイトフル・デッドのライブには大勢の行商人が付いて回ったそうです。
食べ物や飲み物はもちろん、マリファナ(!)までこっそりと!笑
今で言う野外フェスの雰囲気に近いでしょう(マリファナはないですが)。

そのなかではグレイトフル・デッドのロゴを使ったグッズを販売している行商人を大勢いたようです。
本来なら「オフィシャルのグッズが売れなくなるから」という理由で厳しく取り締まるのでしょうが、グレイトフル・デッドはこの商売を承認したようです(ライセンス料を払うという条件付きですが)。

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画像引用:グレイトフル・デッドオフィシャルショップ

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画像引用:グレイトフルデッド・オフィシャルショップ

前述したチケット販売はNGなのに、どうしてグッズはOKなのかという点ですが、読んでいてなるほどと感心しました。
チケットを扱うのは「大企業」であるのに対し、ライブ会場の駐車場でグッズを販売する行商人は「ファン」であり「起業家」ということ。

この違いはグレイトフル・デッドを「お金儲け」の対象としてみるか、ともに盛り上げる「仲間」としてみるかの違いなんでしょうね。

この賞、すごい納得しました!笑

社会に恩返しをしよう

グレイトフル・デッドは自分たちが信じる大義や理念、そして活動の基盤であるサンフランシスコの生活を向上することに関連した支援を頻繁に行っていました。
それは企業が自社イメージを良くするために、関連する分野の団体に絞って支援する・・・こととは異なり、自分たちが興味のある団体なら積極的に支援したようです。
後にこのチャリティーの規模が大きくなると、非営利の慈善組織「レックス基金」を設立してスムーズな支援を行えるようにしました。

チャリティーや慈善ライブは今でも多くありますし、最近だと東日本大震災後のチャリティーライブが多くなった印象を受けます(福島在住者としても余計に感じます)。
しかしこれは小さな力しかないバンドやミュージシャンにだって言えることかと。

規模は大きくなくても、それが直接社会に対しての支援でなくても、自分たちを支援してくれているコミュニティへの恩返しはすぐにでも可能なはずです。

自分が本当に好きなことをやろう

Youtubeにアップされているライブ映像をみても、グレイトフル・デッドのメンバーは非常に楽しそうに演奏しています。
質素な生活をしていても、演奏のギャラがもらえない状況でも、自分たちがやっていたことが好きだし、楽しいからこそやり続けることができたといえます。

まとめ

3回にわけて『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』をまとめてみましたが、非常に読みやすい本でしたし、改めて音楽ビジネスについて考えさせられる点が多くありました。
おすすめです!

1回の記事はこちらから!
2回の記事はこちらから!

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